[PDF] 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン 2020
アモキシシリンの承認された用法・用量(ピロリ菌除菌を除く感染症:1 回 250 mg を 1 日 3~4 回、ピロリ菌除菌:1 回 750 mg を 1 日 2 回)よりも高用量(1 回 2,000 mg、1 日 1 回)で処方されている。歯科領域における適応外処方(感染性心内膜炎の予防)である可能性が考えられる。
[PDF] 歯科処置に関連した菌血症と感染性心内膜炎 抗菌薬予防投与の現在地
薬剤師の予測通り、歯科医師からの返答は感染性心内膜炎の予防のための処方であり、処方変更はなかった。
1929年にフレミングが青カビから発見したペニシリンは1940年代にベンジルペニシリンとして患者さんに使われました。歯科ではアモキシシリン水和物(商品名:サワシリン錠 250mg他)バカンピシリン塩酸塩(商品名:ペングッド)などが処方されることが多いです。ペニシリンは禁忌及び薬剤の相互作用は少ない薬剤です。
歯科(口腔外科)での第三世代セフェムの大量使用は批判されていることを知っておきましょう。
【用法・用量】
〈ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症〉
成人:アモキシシリン水和物として、通常 1 回 250 mg(力価)を 1 日 3~4 回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈ヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎〉
・アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用の場合
通常、成人にはアモキシシリン水和物として 1 回 750 mg(力価)、クラリスロマイシンとして 1 回 200 mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの 3 剤を同時に 1 日 2 回、7 日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1 回 400 mg(力価)1 日 2 回を上限とする。
・アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びプロトンポンプインヒビター併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合
通常、成人にはアモキシシリン水和物として 1 回 750 mg(力価)、メトロニダゾールとして 1 回 250 mg 及びプロトンポンプインヒビターの 3 剤を同時に 1 日 2 回、7 日間経口投与する。
<感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン>[文献 1]
感染性心内膜炎は、的確な診断のもとで適切な治療が奏功しないと多くの合併症を引き起こし、死に至る重篤な疾患である。多くの場合、何らかの基礎心疾患を有する患者が何らかの原因により菌血症を起こした際に発症し、菌血症を来す原因の多くは歯科治療を含めた小手術である。
そのため、先天性疾患、弁膜疾患を含む感染性心内膜炎の発症が高いとされる患者には、抗菌薬の予防投与が推奨されている。ガイドラインでは、下表の抗菌薬を処置 1 時間前に内服することが推奨されている。
今回は、歯科でアモキシシリン(先:サワシリン)が大量で処方された例についてです。 アモキシシリンが歯科でよく処方される例.
<海外のガイドライン>
アメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)[文献 2]、欧州心臓病学会(ECS:European Society of Cardiology)[文献3]のガイドラインでは、歯科処置時の抗菌薬予防投与の対象症例を人工弁置換術後、感染性心内膜炎の既往例、先天性心疾患(未修復のチアノーゼ性先天性心疾患、術後 6 カ月以内)などに限定している。
文献)
1. 日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本小児循環器学会/日本心臓病学会. 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008 年改訂版)
2. Nishimura RA et al., J Am Coll Cardial. 70(2):252-289, 2017.
3. Habib G et al., Eur Heart J. 36(44): 3075-3128, 2015.
処方の理由によります。 抜歯後など、問題が起きないように予防的に処方されたのなら、服用を中止しても大丈夫な場合がほとんどです。
歯科処置後に発生する一過性の菌血症(血液中に細菌が侵入すること)は非常に高率で、抜歯後はほぼ100%発生すると言われています。歯科処置を行う時に、感染性心内膜炎の予防目的で抗菌薬を投与することが1950年代から多くの国で推奨されてきました。
しかし、抗菌薬の予防投与によって、抜歯後の菌血症の発生が減ったという報告はありますが、感染性心内膜炎の発生が減ることを直接証明した報告はありません。また、「日常の歯磨きやデンタルフロスの使用でも軽微な菌血症が日常茶飯事的に起こるので、歯科処置の時だけ抗菌薬を処方しても意味はない。それより、口腔衛生を徹底する方が重要だ」という指摘もありました。さらに、抗菌薬アレルギーなどの副作用や、抗菌薬が効かない耐性菌の発生を助長する可能性などのデメリットも心配されてきました。
このような議論を踏まえて、フランス(2002年)、米国(2007年)、欧州のガイドライン(2009年)では、相次いで(中等度リスク患者には投与しない)と改められました。2008年には、英国国立医療評価機構(NICE)がさらに踏み込んで、高リスク患者・中等度リスク患者どちらに対してもことを提言しました。
英国では、NICE提言直後の5年間(2008〜2013年)に、抗菌薬の予防的処方件数は提言前の2割以下に減少し、感染性心内膜炎の発生はわずかですが統計学的に有意に増えてしまいました*1。その増加は、高リスク患者だけでなく中等度リスク患者でも認められました。
さらに、2004〜2014年の予防投与の集計*2では、第一選択薬であるアモキシシリンの処方が300万件近くありましたが死亡例は皆無で、アモキシシリンの安全性は極めて高いことがわかりました。これら2つの事実により、アモキシシリンを予防投与することの正当性が暗に示された形になりました。
リンやアモキシシリン等のβラクタム薬に感受性を示す菌が多い. ..
フィリピンの土壌から1952年に発見され、ペニシリン、セフェム系とは異なった化学構造で、抗炎症作用、免疫調節作用など抗菌力以外の作用もあるため、慢性閉塞性肺疾患などにも使用されています。歯科ではクラリスロマイシン(商品名:クラリス他)アジスロマイシン(商品名:ジスロマック他)が処方されることが多いです。マクロライド系は、安全性は高いですが、クラリスロマイシンは肝臓のチトクロームで代謝されるため、同じ部位で代謝される薬剤は併用注意となるために、併用注意薬があります。薬局などでご確認ください。重篤なものは併用禁忌となっています。
歯科処置後に発生する一過性の菌血症(血液中に細菌が侵入すること)は ..
*1:体重に応じて減量可能(日本の成人では30mg/kgでも十分)
*2:日本化学療法学会はアモキシシリン大量投与による下痢の可能性を踏まえ、リスクの少ない患者にはアモキシシリン500mgを提唱
*3:近年、MIC(最小発育阻止濃度)が上昇していることに留意
高リスク心疾患患者に対する歯科処置に際して抗菌薬投与は IE 予防のために必要か? ..
感染性心内膜炎の発症や重症化のリスクと、菌血症が発生しやすい検査や治療についてまとめた表です。表上段の「感染性心内膜炎の発症や重症化のリスクとなる疾患や患者背景」が高リスクの場合が「高リスク患者」、中等度リスクが「中等度リスク患者」です。
参考資料:日本循環器学会 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)
るマクロライド系抗生物質はあまり影響を受けません. また,ネフローゼのように血漿蛋白質が大量に失われ
そのような中、我が国のガイドライン*3では「高リスク患者に対し推奨する」「中等度リスク患者に対し提案する」と記されており、しています。感染性心内膜炎の死亡率は高く、もし発症すれば重篤な結果を招きます。抗菌薬の予防投与で救える患者さんは多くないかも知れませんが、1回の内服で感染性心内膜炎による身体的苦痛、生活への悪影響、経済的ダメージが回避できる可能性があるのならば意義があるという判断です。
注2)通常これは歯磨き又は歯科医による処置によって除去することができる。 注3 ..
ペニシリン、セフェムなど他の抗菌剤が土中から発見されたのに対して、キノロンは人工的に合成した抗菌剤です。1980年代から、各種の製剤が開発されています。歯科では、レボフロキサシン(商品名:クラビット他)、トスフロキサシン酸塩水和物(商品名:オゼックス)、ロメフロキサシン塩酸塩(商品名:ロメバクト他)、シタフロキサシン(商品名:グレースビット)が処方されることが多いです。
医療用医薬品 : サワシリン (サワシリンカプセル125 他)
ミノマイシン塩酸塩(商品名:ミノマイシン他)が経口薬として使用されている。歯科では歯周病治療薬として歯科用軟膏が多く使われています。
この謎を解く鍵は『循環器内科からの処方』と『歯科治療1時間前に服用』です。 ..
歯科では、消炎鎮痛剤を処方されることが多いです。消炎鎮痛剤で多く認められる副作用は食道、胃腸障害、腎障害です。副作用は、用量(薬剤を服用する量)及び投与期間が多くなると副作用が認められる頻度が高くなります。すでに、腰痛などで消炎鎮痛剤を服用している方は、必ず主治医に伝えてください。同じような消炎鎮痛剤が重複することで副作用が出現する率は高くなります。痛みが激しいために、短時間で消炎鎮痛剤を何回も服用すると用量が増えてしまうために、副作用の出現率は高くなります。食道、胃腸障害を少なくするためには、決められた用量で、食後に多めの水で服用することが大事です。腎障害の患者さんは、消炎鎮痛剤により腎障害を悪化させることがありますので主治医に伝えるとともに、服薬後に浮腫(むくみ)などの症状が認められた際は服薬を中止して下さい。
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口腔用ステロイド製剤(商品名:アフタッチ、アフターシール他)が処方されます。
口腔粘膜に貼り付ける錠剤やシールを歯科用貼付剤と呼びます。口内炎などによる潰瘍面を保護します。歯科用貼付剤を貼り付ける粘膜部位はしっかりと清掃してから貼付することが大切です。
歯科医師による抗菌薬処方傾向を調査しました。また、人工心臓弁を有する ..
口腔カンジダ症はカンジダが白いコケ状に付着し疼痛、違和感などが認められる真菌感染症です。症状が軽度の際は口腔清掃、含嗽などで軽快します。特に義歯を使用している方は義歯を清掃してください。軽度では重曹によるうがいも効果的です(ぬるま湯100ml程度に重曹茶さじ1杯程度)。