【海外論文】再発・難治性MM、 イベルドミド+デキサメタゾン併用療法で


65 歳未満で重要臓器機能の保持されている初発骨髄腫患者に対しては,効果が迅速で深い奏効を期待でき,かつ自家造血幹細胞採取効率に悪影響を与えない導入療法を施行(,)後,自家造血幹細胞移植を併用した大量MEL 療法を実施することが推奨される(,,,)。移植適応患者に対する導入療法としてMEL などのアルキル化剤やレナリドミド(LEN)の長期投与を施行すると,造血幹細胞採取効率の低下につながることが知られており注意が必要である。推奨導入療法としては,高い奏効割合が期待できるボルテゾミブ(BOR)とデキサメタゾン(DEX)併用の導入療法(BD 療法)があり,3~4 コース施行後に自家末梢血幹細胞採取と保存を行う。より高い効果を期待できる導入療法として,新規薬剤を含む3 剤併用療法であるCBD 療法[BD+シクロホスファミド(CPA)]やBAD 療法[BD+ドキソルビシン(DXR)]があるが,同時に毒性も増強することに留意すべきである。腎障害を伴っていてもBOR は使用しやすい薬剤である。しかし,肺の間質影や末梢神経障害が存在する場合などのBOR による毒性が懸念される場合には,これまで標準的に用いられたVAD 療法(VCR, DXR, DEX)や大量DEX 療法(high-dose dexamethason:HDD)なども選択肢となる。自家末梢血造血幹細胞は,G-CSF 単独またはCPA 大量療法にG-CSF を併用して採取し,CD34 陽性細胞で2×106 個/患者体重(kg)以上の造血幹細胞を得ることを目標とし凍結保存しておく。大量MEL 療法は通常200 mg/m2 を2 日間に分けて投与するが,腎障害がある場合には70%に減量する。2 日目の大量MEL 投与の翌々日に凍結しておいた自家末梢血造血幹細胞を急速解凍して輸注する。早期からの新規薬剤の使用により大量MEL 療法を行うことなく同等の無増悪生存期間が得られるかどうかの臨床試験が複数行われているが,それらの結果が明らかになるまでは大量MEL 療法が65 歳未満の患者に対する標準治療である。1 回目の移植後の効果が最良部分奏効(VGPR)未満の患者においては,2 回目の移植(タンデム移植)を実施することで無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)の延長効果が得られることが示されている(,)。しかし最近の欧米の臨床試験では,1 回目の移植後の地固め療法や維持療法として新規薬剤が使用されており,PFS の延長効果に加えて,一部の臨床試験においてはOS の延長効果も示されている(,)。しかし,いずれの薬剤を用いた場合も至適投与法(投与量,投与レジメンや投与期間など)は確立されておらず,臨床試験での実施が望ましい。したがって,日常臨床においての地固め療法や維持療法は,薬剤耐性化や二次がんの発症を含めた有害事象のリスクと患者利益,そして医療経済的な側面をよく考えて実施するかどうかを決定する必要がある。さらに治癒を目指して,自家造血幹細胞移植後に骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植(ミニ移植)を実施する戦略も試みられているが,現段階では研究的治療の域を出ず,臨床試験としての実施が推奨される()。


[PDF] 対象疾患 No レジメン 多発性骨髄腫(MM) MM-13

移植非適応患者に対する標準治療は現在,MPB 療法(MEL, PSL, BOR)もしくはMPT 療法(MEL, PSL, THAL)などであり,40 年以上にわたって標準治療であったMP 療法(MEL, PSL)に比してPFS の延長効果のみでなくOS の延長効果も示されている(,)。米国においてはLEN+少量DEX 併用療法(Ld)の有効性も報告されているが,MP 療法或いはMPT 療法とのランダム化比較試験の結果が未報告であり,厳密な意味で標準治療とは認識されていない。患者年齢や末梢神経障害,血栓症などのリスクや肺の間質影の合併の有無などを考慮して従来のMP 療法などの通常量化学療法の選択肢もある。MPB 療法やMPT 療法では,通常9 コースまで継続することを目標とするが,治療継続期間を比較検討した臨床試験は存在しない。MP 療法で代表される従来の化学療法の場合は,プラトー[安定(SD)/不変(NC)以上の効果判定がなされた時点を規準にしてM 蛋白量等の計測値の変化が±25%以内で3 カ月以上継続した場合]に至るまで継続して治療を終了することが一般的であり,それ以上の治療継続は患者利益に結びつかないことが示されている(,)。また,LEN やTHAL などの免疫調節薬は,DEX との併用により相乗効果が期待できるが,高齢患者に対する大量DEX の投与は感染症や血栓症を誘発することが示されており,年齢に応じた減量が勧められる(,)。移植非適応患者に対する導入療法後の維持療法については,無増悪生存期間の延長効果を示す試験結果があるものの,OS の延長効果を示した大規模試験は少なく,実施する場合は臨床試験の範疇で行うことが勧められる。

※外国第Ⅲ相臨床試験(MM-003試験)デキサメタゾン併用投与での成績

※外国第Ⅲ相臨床試験(MM-003試験)デキサメタゾン併用投与での成績


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多発性骨髄腫は抗体を作る形質細胞ががん化する病気で、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変などの症状が起きる病気です。かつては症状が現れてから治療を開始していましたが、現在はそれより早い段階で治療が始められるようになっています。自家造血幹細胞移植の適応があれば、移植が推奨されています。移植の適応がない場合には化学療法が行われます。多発性骨髄腫の治療薬は、9種類の新規薬剤が中心となっています。移植をするための前治療としての導入療法や、移植の適応がない場合の化学療法にも使われています。新規薬剤の登場により、多発性骨髄腫は長期間にわたって病気をコントロールすることが可能になっています。

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第III相二重盲検比較試験(MM-010試験 ..

デキサメタゾンを多発性骨髄腫で内服する場合「週に1回のみ」「決められた日付のみ」などです。

赤血球、血小板、白血球など血液を構成する細胞のうちの白血球の1つであるB細胞から分化して作られる形質細胞ががん化することで起こるのが、多発性骨髄腫という病気です。

ビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾン(骨髄腫VAD療法)

※皮膚がん、骨軟部腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など「がん種別」にない場合は「部位別」から検索してください。

再発・難治例に対しては,初回治療の最終投与日から6 カ月以上経過してからの再発・再燃であれば初回導入療法に対する感受性を有している場合も多く,初回導入療法を再度試みてもよいし,新規薬剤を含む治療レジメンに変更してもよい(,,)。初回治療終了後6 カ月未満の再発・再燃や治療中の進行や増悪の場合,そしてt(4;14)転座などの高リスク染色体病型を有する場合には,新規薬剤を含む救援化学療法の選択が推奨される()。薬剤選択においては前治療レジメンや患者の有する合併症や臓器機能障害の有無などを考慮する必要がある。移植適応のある60 歳未満の患者においては,救援療法が奏効した場合には2 回目の自家造血幹細胞移植併用の大量MEL 療法を行うという選択もある(,)。同様に救援療法が奏効してHLA 適合ドナーがいる場合には,同種造血幹細胞移植という選択肢もあるが,移植後早期の死亡率が高く再発・再燃も高頻度であることから,臨床試験の範疇で行われることが望ましい()。


再発・難治性MMに対するイキサゾミブ+ダラツムマブ+デキサメタゾン〜第II相試験最終分析.

多発性骨髄腫によって引き起こされるこれらの症状を、高カルシウム血症(hyper Calcemia)、腎障害(Renal failure)、貧血(Anemia)、骨病変(Bone lesion)から4文字をとって「CRAB」といいます。

[PDF] 多発性骨髄腫患者に対する低用量デキサメタゾン併用療法時における

支持療法としては,ビスホスホネート製剤の併用によって骨痛や病的骨折などの骨関連事象発生の減少効果のみならず,生存期間の延長効果も期待できるようになった(,)。また,我が国においては,腎障害のためにビスホスホネート製剤を使用しづらい場合にはヒト型抗RANKL(receptor activator of nuclear factor-κB ligand)モノクローナル抗体であるデノスマブの使用も選択可能である(,)が,重篤な低カルシウム血症をきたすことがあるため,注意深い血清カルシウム濃度のモニタリングが必要である。しかし,これらの薬剤は顎骨壊死(antiresorptive agent-related osteonecrosis of the jaw:ARONJ)などの特徴的な有害事象を有しており,治療介入により患者QOL を損なうことのないように適切な配慮が必要である()。また,骨髄腫細胞は放射線感受性が比較的良好であるため,限局性の溶骨病変や病的骨折部の除痛を目的とした場合や,脊髄あるいは神経根の圧迫が懸念される椎体病変に対しては局所放射線照射が有効である。さらに,骨髄腫に高頻度にみられる合併症である腎障害(),原疾患および治療薬の副作用として現れやすい感染症(),末梢神経障害()や血栓症()に対する予防や支持療法など,きめ細かい配慮が必要となる。

再発・再燃骨髄腫患者を対象に,TTPを主要評価項目として当時の標準治療である大量デキサメタゾン ..

多発性骨髄腫は高齢者に多い病気なので、高齢者が増えている日本では増加しています。かつては人口10万人当たり3人ほどでしたが、現在は10万人あたり5人以上になっています。

2022年5月、腰が痛くなり総合病院の血液内科で精密検査を受けたところ、多発性骨髄腫(MM)と診断されました。 ..

現時点では,症候性骨髄腫は治癒を期待できる疾患ではない。しかし,治療介入により長期の生存が可能となっている疾患である。すなわち,良好な生活の質(quality of life:QOL)を維持しながら長期生存を目指すことが治療目標となる。一般に自家造血幹細胞移植併用大量化学療法 (high-dose chemotherapy with autologous hematopoietic stem cell transplantation:HDC/AHSCT)の適応となる65 歳未満の移植適応患者と,65 歳以上あるいは重要臓器の障害のために自家造血幹細胞移植の適応とならない移植非適応患者によって異なった治療戦略が選択される。65 歳という年齢はあくまで目安であり,日常臨床においては生物学的年齢を考慮した上で治療方針を決定する。移植適応患者では,化学療法および新規薬剤を用いた導入療法後の大量メルファラン(MEL)療法による完全奏効(complete response:CR)の達成が長期の無増悪生存期間,ひいては長期生存の代替えマーカーとなることが示されている。また移植非適応患者においても,新規薬剤を併用した化学療法によりCR 達成割合の増加が示されており,これまでゴールドスタンダードであったMP 療法を凌ぐ生存期間の延長が期待できるようになった

重症(Ccr≦30ml/min:透析必要):本 剤 5mgを 1 日1 回投与(透析日は透析後に投与)

多発性骨髄腫を発見するのに有効な検査は、血液検査と画像検査です。血液検査で、高カルシウム血症、腎機能の低下、貧血、総たんぱくの上昇、アルブミン値の低下などがあれば、多発性骨髄腫の可能性があります。画像検査では骨折の有無を調べます。大きな骨折はX線撮影でわかりますが、、、などを行えば、ごく小さな骨病変でも見つけることができます。

上記に示している「デキサメタゾン」は副腎皮質ステロイドの飲み薬を指します。 ..

こうした検査を行ない多発性骨髄腫の疑いがあれば、骨髄検査で確定診断を行います。骨盤の骨に針を刺し、骨髄液を抜き取って調べ、形質細胞の比率が10%以上に増えていると多発性骨髄腫と診断されます。また、確定診断のためには、血清中の免疫グロブリンを調べる血清免疫固定法検査や、血清FLC(フリーライトチェーン)検査も必要になります。

デキサメタゾン併用療法、無増悪生存期間、客観的奏効率を有意に改善する ..

内服する期間は、多発性骨髄腫に対し他の注射薬を使用するかで変わります。

Wintrobe MM, Wintrobes Clinical Hemtaology: Lee et al

多発性骨髄腫は、年齢、病型、病期、合併症などにより病状の経過が異なります。その他にも因子があり、治療に対する効果判定や予後予測が行われます。

患者向け資材 | MM | Hemapedia : 血液内科領域の情報メディアサイト

骨の孤立性形質細胞腫や髄外形質細胞腫に対しては,40~50 Gy(20~25 分割)の局所放射線照射を行った後に無治療経過観察し,症候性骨髄腫に移行した場合にはじめて全身化学療法を考慮する。アジュバント療法としての化学療法は推奨されない(,)。なお多発性形質細胞腫に対しては,症候性骨髄腫と同様の治療方針が選択される。

日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)

多発性骨髄腫のステージ(病期)は、腫瘍の量と予後因子により、I~IIIの3段階に分けられます。アルブミン値(Alb)とβ2ミクログロブリン値(βMG)に加え、染色体の異常も調べて判定します。Ⅰ期はAlb≧3.5g/dLかつβMG<3.5mg/dL、Ⅲ期はβMG≧5.5mg/dL、Ⅱ期はそれ以外、となっています(表1参照)。

mmを超える巣状病変ありのいずれか1つ以上)を有する場合も(症候性)多発性骨髄 ..

症候性骨髄腫の前癌病態であるMGUS や無症候性骨髄腫は無治療経過観察(watchful wait)が原則であり,症候性骨髄腫に移行した時点で全身化学療法を開始する(,,)。MGUS は,年約1%の割合で症候性骨髄腫や全身性アミロイドーシスへ進行することが知られており,10 年後で12%,20 年後で25%,25 年後で30%の患者で疾患の進行が認められる。疾患進行のリスク因子として,①血清M 蛋白量1.5 g/dL 以上,②非IgG 型,③血清遊離軽鎖(κ/λ)比異常の3 因子が示されており,進行割合を予測するモデルが提唱されている()。無症候性骨髄腫から症候性骨髄腫あるいは全身性アミロイドーシスへの進行は,診断後の5 年間は年10%,次の5 年間は年3%,10 年を超えると年1%に認められる。進行のリスク因子として①骨髄中形質細胞比率10%以上,②血清M 蛋白濃度3 g/dL 以上,③血清遊離軽鎖比の大きな異常(κ/λ比で0.125 以下もしくは8.0 以上)の3 因子を用いた予測モデルが提唱されている()

LEN についてはLEN+大量DEX 併用療法とプラセボ+大量DEX 療法との比較がなされた(MM-009 試験,MM-010 試験)。

以前は、血液検査や骨髄検査で異常が見つかっていても、症状(CRAB)が現れていなければ治療する必要はないとされていました。症状がない段階を「くすぶり型骨髄腫」といいますが、この段階で治療を始めても、かつては生存期間を延ばすことができないため、骨折や腎不全が起きてから治療を始めていました。最近は新薬が登場したこともあり、もう少し早い段階で治療を開始することが推奨されています。