薬疹(重症) - 皮膚科Q&A どんな病気?治療法は?専門家が皆さんの疑問にお答えします。
なんらかの外来性物質(食物、薬剤、微生物など)または体内物質に誘発されて生じる発疹を中毒疹と呼びます。中毒疹は薬疹のほか、ウイルス、細菌、食物、その他原因による急性の発疹の総称です。
ただし、反応性の皮疹であってもなるべく原因物質を特定し、原因に応じた診断名をつけるべきという考えが主流です。
現在では使われることが減っている用語ですが、実際の臨床において原因のはっきりしない発疹はとても多く、中毒疹という呼称を使うこともあります。
オーグメンチン(アモキシシリン水和物/クラブラン酸カリウム) – 呼吸器治療薬 ..
薬疹を起こしても、多くの場合は原因となった薬剤の摂取を止めることにより、薬剤の成分あるいはその代謝産物が体外から排出され、自然に症状は軽快します。
ところが、一部の薬疹では非常に強いアレルギー反応を起こして命にかかわる事態になるものや、ウイルスの再活性化を引き起こし薬剤中止後も症状が悪化したり、遷延するものも。重症薬疹と呼ばれるこれらの疾患については、別に項目を設けて説明します。
薬疹は、体内に入った薬剤の成分、あるいはその代謝産物が、アレルギー性または非アレルギー性機序で皮膚に障害を起こすことで発症。
アモキシシリンは、特定の性感染症 (STI) の治療のために経口で服用する抗生物質です。 ..
31歳,女性.1996年2月14日,感冒のためアモキシシリンを内服し,翌目右肘窩,右手指および右足背に疼痛を伴う発赤,腫脹が出現したが数日で自然軽快した.同年3月22日,抜歯後に塩酸バカンピシリンを内服し,前回と同部位に皮疹が出現した.固定薬疹と診断し,貼布試験を施行した.皮疹部ではアモキシシリン,塩酸バカンピシリンが陽性を示した.他のβ—ラクタム薬との交差反応を検討するため貼布試験を施行したところ,アンピシリン,塩酸レナンピシリンは陽性を示したが,ベンジルペニシリンカリウム,ピペラシリンナトリウム,トシル酸スルタミシリン,セファレキシン,セファクロルは陰性であった.
アレルギー型薬疹では、薬剤の成分やその代謝産物が抗原(アレルゲン)となり、免疫システムが活性化され症状が出現。ふつう薬疹というと、このアレルギー性薬疹をさします。
薬剤に対して反応する細胞(Tリンパ球)や抗体ができることを感作といい、アレルギー型薬疹はこの感作が成立した人にのみ発症。また、いったん感作が成立すると生涯消失しないと言われています。
アモキシシリンでの薬疹と考え、中止しモンテルカストのみ継続してもらいました。
現病歴 10日前に右下の奥歯,歯肉が痛み,頸部リンパ節の腫脹がみられた。5日前に歯科医院でアモキシシリン(パセトシン®,以下AMPC)を処方された。当日夜より内服を開始し,翌日全身の倦怠感が出現した。内服3日目に前腕,足背に紅斑が出現し,全身に拡大したため内服を中止した。皮疹出現から3日目に当科を受診した。全経過を通じて発熱はない。
ADL自立した40歳女性。2日前からの排尿時痛,尿意切迫感,頻尿でER受診。発熱なく,尿検査で白血球+,細菌+。尿グラム染色でグラム陰性桿菌の貪食像あり。患者はサワシリン®(アモキシシリン)でじんま疹がでたという。
抗菌剤について以前アモキシシリンを処方され薬疹と思われるものがで ..
<Ⅰ型アレルギーの薬疹>
じんましん型とも呼ばれ、薬剤を摂取して数分~1時間以内に発疹があらわれます。ただし、アレルギーなので感作が成立していないと症状は起きず、初回投与時にはこのタイプの薬疹は通常起こりません。
よくあるパターンは、それまでにその薬剤を投与されたことがあり、その時に本人も気づかないうちに感作が成立し、再度同じ薬を投与されたときにアレルギー反応を起こす、というもの。このタイプの薬疹は抗菌薬などでよくみられます。
<Ⅱ型アレルギーの薬疹>
薬剤に対する抗体が産生され、それに細胞障害性T細胞や補体(B細胞によって産生される)が作用することにより、細胞がダメージをうけます。このⅡ型アレルギーの薬疹の代表的なものが、糖尿病で使用されるDPP-4阻害薬による類天疱瘡。
類天疱瘡型の薬疹は、皮膚の細胞同士を接着させているたんぱく質が細胞障害性T細胞や補体に攻撃され、皮膚同士の接着が弱くなります。さらに、水疱ができ皮膚がはがれて『びらん』に。
DPP-4阻害薬自体は、日本人の糖尿病患者さんにはとてもよい薬剤ですが、このような特徴的な薬疹を起こすことがあり、投与の際には注意するよう言われています。
急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)は、スティーブンス・ジョンソン症候群、
薬疹の原因薬は、抗菌薬や解熱鎮痛剤などが多く、これらの薬は私たちにとって身近な薬です。私たち誰もが小さな傷が化膿して抗菌薬を使用した、熱や痛みがあって解熱鎮痛剤を使用した、などの経験があると思います。
言い換えると、薬疹はいつ誰が発症してもおかしくない、ということに。皮膚科医は、どんな発疹をみても薬疹の可能性を必ず頭の片隅に置いて診療をするように教わります。
薬剤ごとに好発病型がありますが、薬剤や個体側の反応性によりあらゆる皮疹のパターンをとり得るのが薬疹です。
中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症候群と並ぶ重症型の薬疹である。高熱
セファロスポリン系薬でのアレルギー歴がある患者では、側鎖の異なるセファロスポリン系薬を考慮する。側鎖の異なるセファロスポリン系薬の皮膚試験陰性は、安全に使用できる指標となる。慎重に判断するなら、これに続きチャレンジテストを行うことが望ましい。しかしながら、明確なアナフィラキシーショックや重症薬疹のような重篤な薬剤過敏症の既往がある場合には、すべてのβラクタム系薬を避け、他系統の薬剤の選択を考慮する。
[PDF] アモキシシリン(AMPC)投与後 の発疹に関する前方視的調査
薬疹では、さまざまなタイプの皮膚炎が出現するため、まとめて述べるのは難しいのですが、薬疹を起こしやすい薬剤と、薬剤ごとに起こりやすい皮膚炎の種類がいくつかあるので、表にしてみました。
さらに、薬疹の中でも特に多いものについては、いくつか個別に紹介。
[PDF] 浜松市内科医会 AAS 通報 20 抗菌薬投与中の小児の発疹
また、ペニシリンアレルギーの申告があった患者となかった患者で統計学的な差はなかったが、申告がなかった患者のほうがカルバペネム系抗菌薬による薬剤過敏症が多かった報告17)があり、ペニシリンアレルギー歴はカルバペネム系抗菌薬による過敏症の推測にはあまり有用でないことが示唆される。しかしながら、このような報告がペニシリンアレルギーと申告された患者へのカルバペネム系薬の使用増に影響してしまうことも懸念される。実際、グラム陰性菌の血流感染において、カルバペネム系抗菌薬が使用される頻度が高いことが報告されている17)。
ピロリ菌除菌薬による薬疹 (武蔵小杉病院 安齋眞一 荻田あずさ)
そして驚くべきことに、このデータブックは福田皮ふ科クリニックの福田英三先生というひとりの先生によって作られました(現在はご子息である福田英嗣先生も編集に携わっておられます)。
薬疹の診療には欠かせないものであり、日本中の皮膚科医がそのデータブックを参考に診療しています。私たち皮膚科医は福田先生には感謝してもしきれない、といつもデータブックを手にするたびに思っているのです。
[PDF] 梅毒に対するアモキシシリン 1,500mg 内服治療の臨床的効果
ADL自立した30歳男性。1日前からの発熱,咽頭痛でER受診。診察で39度の発熱,扁桃腫脹,頚部リンパ節腫脹あり。溶連菌迅速テストも陽性。患者は以前にかぜで受診したとき,サワシリン®(アモキシシリン)で全身の発疹が出たという。
治療薬マニュアル · WEB内科塾―内科系専門医試験対策 · NEO個人版 · PT・OT 国家試験 ..
代替抗菌薬は臓器と起因菌を想定して選択する。
例)
誤嚥性肺炎:クリンダマイシン、グラム陽性菌用抗菌薬+メトロニダゾール
尿路感染症:ST合剤、フルオロキノロン、アミノグリコシド
皮膚軟部組織感染症:ST合剤、クリンダマイシン、塩酸バンコマイシン
腹腔内感染症:フルオロキノロン+メトロニダゾール
塩酸バカンピシリンによる固定薬疹の1例 (臨床皮膚科 51巻12号)
咽頭痛を主訴に受診し,溶連菌迅速検査で陽性であったため,アモキシシリンを10日間処方したところ,投与8~9日後に全身の発疹を認めた症例を立て続けに3例経験しました。
発疹は溶連菌感染症の初期に認められるような細かい点状様ではなく,やや大きめで,一部は紅斑であり,掻痒感は認めませんでした。また発疹以外に問題になる所見も認めませんでした。多形滲出性紅斑や薬疹も考慮しましたが,薬疹にしては服用後に時間が経ち過ぎていると思われ,また多形滲出性紅斑の際にみられる,いわゆる標的状病変は認めませんでした。いずれの症例も,無治療のまま4~5日後に自然消失しました。30年近く小児科をしていますが,このような症例は初めて経験しました。
そこで,以下についてご教示下さい。
(1) 溶連菌感染後約10日経過して,中毒疹のような溶連菌に関連した発疹を認めることはありますか。もしあるとすれば,どのような機序で起こりますか。
(2) 上記例への対処法。 (埼玉県 I)
【抗菌薬】ペニシリンアレルギー、 セフェムアレルギーの対応と代替薬
溶連菌感染に伴う発疹(文献1,2)は,菌が産生する発熱毒素(発赤毒素)であるstreptococcal pyrogenic exotoxin(SPE)-AやSPE-Cが関与しています。これらは細菌性スーパー抗原であり,特定のVβ領域を持つT細胞レセプターとMHC(major histocompatibility complex) classⅡ分子を結合することでT細胞を活性化し,炎症性サイトカインを産生させます。A群溶連菌が感染局所で増殖し,産生された毒素が血流により全身に運ばれ,皮膚に発疹を生じさせると認識されています。
通常,発疹は第2病日頃に出現し,次第に淡紅色の紅斑がびまん性紅斑となり,猩紅熱様の経過をとります。一方,最近では典型的な猩紅熱様の発疹は少なく,淡紅色の紅斑性丘疹が一過性に出現するものが多くあります。また,発疹の生成機序として,過去にA群溶連菌の菌体成分に感作されている個体における,菌体成分に対する遅延型皮膚反応の関与も指摘されています。
A群溶連菌感染症に対する抗菌薬療法として,アンピシリンの10日間投与は標準的な治療法(文献3)ですが,経過中に遅発性発疹がみられることが報告(文献4)されています。発疹は治療開始後約10日で出現し,全例でアモキシシリンが投与されていました。さらに,溶連菌による咽頭炎患児にアモキシシリンを投与し,発疹の出現を検討した前向き研究(文献5)では,発疹がみられた症例の約1/4は抗菌薬投与終了後に出現していました。アモキシシリン投与群とセフェム系薬投与群で,発疹の出現率は同様でしたが,アモキシシリン投与群では,より多彩な発疹が観察されました。
(1)ご質問の症例は,上記の遅発性発疹に類する病変と考えられ,発疹に関するアモキシシリンの関与が推察されます。感染症が契機となり,薬剤アレルギーとしての薬疹を発症することが認識されています(文献6)。ほとんどの薬疹は,T細胞が関与する免疫反応です。皮疹はT細胞が薬剤に関して感作されるのに必要とされる7~14日(平均9日)の期間を経て出現しますが,発症までの期間が極端に短い場合や,薬剤誘発性過敏症候群のように発症まで数カ月を要する場合があります。表皮障害の程度は,反応するCD8陽性T細胞数や機能に関連します。アモキシシリンによる薬疹の病態においても,薬剤反応性T細胞の機能が臨床像に反映されるものと理解されています(文献7)。
(2)これまでの報告では,重症の経過をとった症例は見当たらず,抗ヒスタミン薬内服,ステロイド・抗ヒスタミン外用薬の投与で軽快しています。
Stevens-Johnson症候群, TEN, DIHS/DRESS→投与回避
抗ペニシリン血清学的診断(IgE)によるin vitro検査は臨床症状との相関性が低く、診断には無効とされている23)。I型アレルギーでは皮膚試験や特異的IgE検査(RAST)、IV型アレルギーではパッチテストなどが診断に使用される。
※本製品は疾病の診断・治療・予防を目的としたプログラムではありません。
固定薬疹では、その名前のとおり『固定』した部位に薬疹が出るのが最大の特徴です。薬剤摂取から数時間から数日後に、決まった部位の皮膚または粘膜(時に性器)に境界のはっきりした丸い赤~紫色斑が出現し、時に水疱を作ることも。
赤色斑は一か所のことが多いですが、数個出ることもあり、同じ薬剤を摂取するたびに同一部位に出現し、色素沈着を強く残します。
【ミニレビュー】 βラクタム系抗菌薬アレルギー(Q&A形式でみる)
通常は薬剤を中止することで薬疹は改善しますが、特殊なタイプの薬疹は早期から治療を行わないと命にかかわる場合や後遺症を残すことも。さまざまなタイプの薬疹についてこれから順に説明してみます。