COVID-19治療中に発現した吃逆に影響を与える因子の検討


食道癌患者におけるFP療法中の吃逆(しゃっくり)発現に関する調査
藤田医科大学医学研究倫理審査委員会受付番号:HM18-341


表 3 吃逆が発現し,デキサメタゾンからプレドニゾロンへ変更した患者 ..

薬による治療:
臭化水素酸スコポラミンにより気道内分泌を抑制する。
注射用製剤0.15~0.25mg/回の1日1~4回の舌下投与。頻回投与が必要なら0.5~2.0mg/日を持続皮下注入する。肺炎や左心不全の場合には効果がないことが多い。

Goら1は、デキサメタゾン誘発性の吃逆(dexamethasone-induced hiccup;DIH)に対する副腎皮質ステロイド変更の有効性について、2017年の「The Oncologist」に報告している。

[PDF] 臨床情報を用いた吃逆のリスク因子とその治療に関する研究

薬による治療法:
ジメチコン含有制酸薬、シテイ(柿蔕)、メトクロプラミドを4~8時間ごとに経口投与。
バクロフェン10mg/回、頓用または1日3回。
クロルプロマジンは上記の薬が無効なとき使用する。10~25mg/回を6時間ごとに経口投与(または筋肉内注射)。

4)死前喘鳴(デス・ラットル)
死前喘鳴(デス・ラットル)は、気道内に分泌物がたまり、その振動によって下咽頭から喉頭にかけてゼイゼイと音が出る現象である。

■診 断
死前喘鳴は、非常に衰弱し、死が切迫している患者にみられる。この時期には、喘鳴は患者にとって苦痛になっていないことが多い。しかし家族など周囲の人々にとっては苦痛となることが多い。

■治 療
治療の主目標は家族など周囲の人々に与える苦痛の除去である。

薬による治療法:
オピオイド
モルヒネとコデインは咳中枢に直接作用する。モルヒネを処方されている患者では、コデインを追加するのではなく、モルヒネを増量する。デキストロメトルファンは30~60mg/日を経口投与する →(A)(B)(C)の場合。

気管支拡張薬
サルブタモール、テオフィリン等の気管支拡張薬は咳を引き起こす刺激となる気管支収縮を緩和する →(A)(C)の場合。

3)しゃっくり(吃逆)
■診 断
しゃっくり(吃逆)は横隔膜と肋間筋のけいれんに続いて、閉鎖した声帯に抵抗する吸気が起こる現象である。終末期がん患者のしゃっくりの原因として多いのは胃の膨満である。膨満した胃が迷走神経を刺激する。次に多いのは腫瘍による横隔神経の刺激である。

■治 療
薬以外の治療法:
コップの飲む側と反対側の縁に口をつけて冷水を飲む。
綿球で軟口蓋をマッサージする。
息こらえ。
顔に紙袋をあてて呼吸する。

デキサメタゾンの滑液包内注入で吃逆(しゃっくり)が誘発された症例

抗不安薬
ベンゾジアゼピン系の薬は、呼吸困難に伴う不安を緩和する。アルプラゾラム0.4mg、エチゾラム0.5mg、ロラゼパム0.5mg、あるいはジアゼパム2~5mgの就寝前1回投与で開始する。これらに効果があると、昼間の使用も患者に歓迎される。

2)咳
■診 断
咳は気管、気管支から痰や分泌物等を排出するために強制的に起こる呼気である。
気道にある受容体が粘液、異物、乾燥、気管支収縮等の刺激によって活性化すると、咳反射が起こる。
がん患者に起こる咳の原因は、肺の腫瘍、がん性リンパ管症、脱水、呼吸器感染、乾燥、肺気腫、左心不全などである。次の3つに分けてとらえると実際的である。

痰を喀出できる患者の湿性の咳(Aと略)
痰を喀出できない患者の湿性の咳(Bと略)
乾性の咳(Cと略)

■治 療
原因の治療:
可能なら原因の治療を行う。例えば、感染に対する抗生物質、心不全に対する利尿薬。

モルヒネ
モルヒネは呼吸中枢の反応を鈍くし、呼吸数を減らす結果、呼吸困難を緩和する。塩酸モルヒネ3~5mg/回 4~6時間ごとの経口投与を開始し、呼吸困難が緩和する量へと増量調整する。増量は20~30%の割合で行う。痛みのマネジメントに用いるモルヒネ量の1/2量で効果が得られることが多い。痛みのマネジメントにモルヒネを投与中の場合は30~50%の割合で増量する。

コルチコステロイド
腫瘍による気管支の圧迫やがん性リンパ管症などの場合にコルチコステロイドが有効なことがある。デキサメタゾンまたはベタメタゾン4~8mg/日、あるいはプレドニゾロン30~60mg/日を経口投与、静脈内注射または皮下注射する。

「止まらない吃逆」への対応 (Cancer Board Square 4巻2号) | 医書.jp

薬以外の治療法:
「適切な説明」と「不安の除去」が重要である。
呼吸困難それ自体は危険でないと患者に説明し、それによって不安を緩和する。呼吸困難は、閉じこめられているという感覚により増悪する。したがって、ベッドの周りを広くし、窓を開けたり、扇風機を使用して空気の流れをつくる。口すぼめ呼吸など簡単な呼吸理学療法を教えることでも不安は減少する。

シスプラチン(CDDP)を含む化学療法の副作用として,高頻度に吃逆が生じることが知られている。その危険因子としては,CDDP 投与量,制吐剤や性別など様々な因子が報告されている。しかし,制吐薬適正使用ガイドライン(以下,ガイドライン)に推奨されている,アプレピタント(APR),セロトニン3(5-HT3)受容体拮抗薬,ならびにデキサメタゾン(DEX)の3 剤併用療法(以下,3 剤併用療法)施行時の吃逆発現因子についての統一された見解は得られていない。本研究では,CDDP を含む化学療法を受けた患者229 例についてクラスター分析を行い,対象を系統分けすることで,3 剤併用療法施行時に伴う吃逆の発現因子について調査した。また,ガイドライン制定前の高用量DEX と5-HT3受容体拮抗薬による制吐療法(以下,2 剤併用療法)施行時と3 剤併用療法施行時との吃逆発現率ならびに制吐効果について比較・検討を行った。その結果,高用量CDDP(≧70 mg/m2)投与患者における吃逆発現率は,3 剤併用療法施行時が2 剤併用療法施行時に比べ低かった。一方,制吐効果については,3 剤併用療法が2 剤併用療法に比べ高かった。本研究から,高用量CDDP 投与時においてガイドラインに推奨されている3 剤併用療法施行時のAPR 併用は,吃逆発現に影響しないことが示唆された。また,制吐療法として3 剤併用療法は2 剤併用療法よりも有効であることが示された。