「フォシーガ」、CKDの適応追加 国内初、糖尿病合併の有無問わず


バイオファーマの一部である循環器・腎・代謝 (CVRM) は、アストラゼネカの主要治療領域の一つであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、世界の何百万人もの患者さんの心血管系の健康と、治療を改善する革新的なサイエンスを継続的に提供し、CVRM疾患の自然経過の緩和もしくは抑制、将来的には臓器の再生と機能の維持の実現を目指しています。


フォシーガ(一般名ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)が慢性腎臓病に対する効能・効果の追加承認を取得したと発表した。

“DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラムです。終了済みおよび進行中の試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。またフォシーガは、現在、2型糖尿病合併の有無に関わらず、駆出率が保たれた心不全患者さんを対象として有効性を評価するDELIVER第Ⅲ相試験および急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象とした第Ⅲ相DAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。

注目は、世界初の腎機能改善薬として期待される協和キリンの「RTA402」(バルドキソロンメチル)です。同薬は、体内のストレス防御反応で中心的な役割を担う転写因子Nrf2を活性化する薬剤。幅広い抗酸化・抗炎症作用で腎機能を改善すると考えられています。糖尿病合併のCKDを対象に行った国内P2試験では、イヌリンクリアランス法で測定したGFR(糸球体濾過量)を有意に改善しており、現在はP3試験を実施中です。

医療用薬17製品 効能追加などの承認取得 フォシーガにCKDを追加

CKDではフォシーガに続く新薬候補が複数、国内で開発の最終段階に入っています。SGLT2阻害薬では、ジャディアンスとカナグルがいずれも国内でP3試験を実施中。ジャディアンスはフォシーガと同様に糖尿病の有無を問わず、カナグルは糖尿病性腎症を対象に開発を進めています。田辺三菱は2022年度の承認取得を目指しています。

アストラゼネカと小野薬品工業は、選択的SGLT2阻害剤ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が2021年8月25日に2型糖尿病合併の有無にかかわらず、わが国で初めて「慢性腎臓病(CKD)」の効能または効果の追加承認を取得したことを受けて、「国内における慢性腎臓病治療の新たなアプローチ -SGLT2阻害剤フォシーガの慢性腎臓病治療への貢献-」をテーマにメディアセミナーを開催した。

セミナーでは、今回の追加承認のもとになった“DAPA-CKD STUDY”などの概要などが説明された。

セミナーでは、柏原 直樹氏(川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学 教授)を講師に迎え、「腎臓病の克服を目指して」をテーマに講演が行われた。

慢性腎臓病(CKD)の推定患者は、全国で約1,300万人と推定され、2017年時点での慢性透析患者数も約33万4,000人に上り、年間1.57兆円に上る医療費が人工透析に使用されている。CKDは加齢とともに増加し、高齢化社会の日本では腎機能症障害への対応は今後も大きな課題となる。

そこで、近年、腎疾患対策の推進のために厚生労働省は、全体目標として「CKDの早期発見・診断、良質で適切な治療の実施と継続」「重症化予防」「患者のQOLに維持向上」を掲げ、成果目標として2028年までに新規透析導入患者数を35,000人以下に減少させるという目標を謳っている。

こうしたCKDの克服に期待されているのが治療薬である。今回、CKDへの効能または効果の追加承認を取得したダパグリフロジンは、DAPA-CKD試験でその効果が検証された。

本試験は、国際多施設共同試験として18歳以上の慢性腎臓病患者4,304例(うち日本人244例)を対象に行われ、対象患者をダパグリフロジン10mg群とプラセボ群に1:1に無作為に割付、標準治療に追加して1日1回経口投与した。主要複合エンドポイントは「eGFRの50%以上の持続的な低下、末期腎不全への進展、心血管死または腎臓死」のうち、いずれかのイベント初回発現までの期間で実施された。

その結果、32ヵ月時点での各エンドポイントの成績は以下の通りだった。

・主要複合エンドポイントの累積発現率がプラセボ群で約20%だったのに対し、ダパグリフロジン群では約12%であり、ハザード比は0.61(95%CI:0.51、0.72)だった。
・腎複合エンドポイントの累積発現率がプラセボ群が約17%だったのに対し、ダパグリフロジン群は約9%であり、ハザード比は0.56(95%CI:0.45、0.68)だった。
・心血管複合エンドポイントの累積発現率がプラセボ群が約7%だったのに対し、ダパグリフロジン群は約6%であり、ハザード比は0.71(95%CI:0.55、0.92)だった。
・全死亡までの期間の累積発現率がプラセボ群が約8.5%だったのに対し、ダパグリフロジン群は約5.5%であり、ハザード比は0.69(95%CI:0.53、0.88)だった。

また、サブグループ解析では、「糖尿病の有無」、「心不全の有無」、「腎機能低下例」、「IgA腎症」が行われた。

安全性としてダパグリフロジンでは、2,149例中で重篤な有害事象は594例(27.6%)が報告され、急性腎障害、肺炎、心不全、急性心筋梗塞、末期腎不全の順で多かったが、顕著な有害事象はなかった。

最後に柏原氏は、今回の適応拡大について私見としながら「ようやくわが国も世界に追いついた。今後既存薬の見直しの機運が上がる可能性がある。“DAPA STUDY”によりさらなる疾病の克服や患者への希望の共有がなされることを望む」と述べレクチャーを終えた。

アストラゼネカ/小野薬品工業:SGLT2阻害剤「フォシーガ」、慢性腎臓病治療薬として承認取得[新薬開発・販売 FRONTLINE]

柏原氏によると、フォシーガによる治療の対象となるCKD患者はおよそ300万人。「最終的にはガイドラインにきちんと位置付ける作業が必要」としながらも、個人的見解として「有効性と安全性において既存の標準治療薬であるARBやACE阻害薬に優っていると思う。おそらく標準薬になっていく、ファーストラインになっていく可能性が高いと予想している」と話しています。

アストラゼネカと小野薬品工業は8月26日、選択的SGLT2阻害剤「フォシーガ錠」(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)について新たに慢性腎臓病(CKD)の効能・効果の承認を8月25日付で取得したと発表した。フォシーガは、国内で初めて正式に承認されたCKD治療薬となる。

フォシーガ 慢性腎臓病治療薬として欧州で承認取得 アストラゼネカ

こうした作用は、複数あるSGLT2阻害薬に共通したものだと考えられ、独ベーリンガーインゲルハイムの「ジャディアンス」(エンパグリフロジン)や田辺三菱製薬の「カナグル」(カナグリフロジン水和物)がCKDを対象に開発を実施(カナグルは糖尿病性腎症が対象)。カナグルはすでに海外で承認を取得しています。

CKDに対してフォシーガが効果を発揮するのは、▽SGLT2を阻害することにより、近位尿細管でナトリウムが再吸収されず、遠位尿細管に到達するナトリウム量が増加することで、糸球体に向かう輸入細動脈が収縮し、糸球体内の圧力が低下すること▽こうした作用が、浸透圧利尿による体液過剰の補正・血圧低下といった作用と組み合わさり、腎灌流を改善すること――が関連している可能性が考えられています。


フォシーガは、日本で初めてのCKDの治療薬として承認された薬剤である。

フォシーガ(ダパグリフロジン)は、1日1回、経口投与のファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。研究により、心腎疾患の予防および進展抑制、ならびに各臓器の保護に対するフォシーガの有効性が示され、心臓、腎臓および膵臓の臓器間の基本的な関連性を示す重要な知見が得られました 1,12,13。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器の機能低下を引き起こし、全世界で主要な死因となっている2型糖尿病、心不全およびCKDを含む疾患の発症につながります 14-16

社内資料:国際共同第III相試験-DAPA-CKD試験-(承認時評価資料) 本試験はAstraZenecaの資金提供を受けた

DAPA-CKD試験の結果について柏原氏は「CKD患者を対象としたこれまでの試験の中でも画期的な試験であり、ランドマークとなるものだ」と指摘。国は、2016年に3万9000人だった年間の新規透析導入患者数を28年までに3万5000人以下に減少させることを目指しており、柏原氏は「フォシーガの承認が、目標達成への転換点となることを期待している」と話します。

ダパグリフロジン、現時点のCKD適応の考え方【時流 初のCKD薬

DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、フォシーガ10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験です。フォシーガ は1日1回、ACEiもしくはARBによる治療と併用されました。複合主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、心血管または腎不全による死亡)リスクでした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間でした。試験は日本を含む21カ国で実施されました 1。結果は に掲載されました 1

フォシーガ、標準治療を受けている慢性心不全で追加承認-AZほか

ステージ2~4で尿中アルブミン排泄の増加を認めるCKD患者約4300人を対象に行われた国際共同臨床第3相(P3)試験「DAPA-CKD」では、ACE阻害薬またはARBとの併用下で、複合主要評価項目(腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡)のリスクをプラセボに比べて39%低下。事前の想定を上回る有効性が示されたため、独立データモニタリング委員会の勧告に従って同試験は早期終了となりました。

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フォシーガは、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージ2~4、かつ尿中アルブミン排泄の増加を認める患者4304例を対象にプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第3相試験「DAPA-CKD試験」で、ACE阻害薬もしくはARBとの併用で、複合主要評価項目(腎機能の悪化もしくは死亡)のリスクを39%低下させ、また全死亡の相対リスクを有意に31%低下させたとされている。

慢性腎臓病の治療薬フォシーガについて考える【腎臓内科医が解説】

CKDは、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患です(eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義されています 4。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎です 10。CKDは高い有病率や、心不全や若年死をもたらす心血管イベントリスクの増加に関与しています。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全(ESKD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります 2。CKD患者さんの多くはESKDになる前に心血管系の原因によって死亡しています 11。現在、日本におけるCKD患者数は、約1,300万人と推定されています 6

DAPA-CKD試験 ダパグリフロジンの非糖尿患者を含めた腎機能と心血管疾

「この承認により、ダパグリフリジンは、欧州で、2型糖尿病の有無に関わらない、CKDに適応をもつはじめてのSGLT2阻害薬となりました」と、DAPA-CKD試験の治験運営委員会の共同代表者であるオランダのグロニンゲン大学医療センターのHiddo L. Heerspink教授は述べている。

DAPA-CKD試験は、プラセボを対照としたフォシーガ®(ダパグリフロジン) ..

昨年、SGLT2阻害薬として初めて慢性心不全での承認を取得し、慢性腎臓病への適応拡大を申請した「フォシーガ」。同薬を開発したアストラゼネカの緒方史子氏(執行役員 循環器・腎・代謝/消化器事業本部長)と矢島利高氏(メディカル本部 循環器・腎・代謝/消化器疾患領域統括部 統括部長)に、その意義や心・腎領域の事業戦略について聞きました。

Ⅲ相 DAPA-CKD 試験の結果に基づき、成人の左室駆出率が低下した心不全の治療薬、および

日本の治験統括医師を務めた柏原直樹氏(日本腎臓学会理事長)は「(DAPA-CKD試験は)CKD患者を対象としたこれまでの試験の中でも画期的な試験であり、ランドマークとなるもの。今回の承認は日本の多くのCKD患者にとって大きな希望となる」と話している。

フォシーガ (ダパグリフロジン)は、腎臓の近位尿細管にある SGLT2 を選択的に阻害 ..

フォシーガは、米国でも2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人のCKD治療薬として承認を取得している。日本などでは承認審査中。同剤はまた、成人2型糖尿病の血糖コントロールを改善する食事および運動療法の補助療法、および、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した成人の慢性心不全の治療薬としても承認されている。

(11)高カリウム血症又は高カリウム血症のリスクを有する慢性腎臓病(CKD)患者の CKD

同剤は1日1回、ACEiもしくはARBによる治療と併用された。主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)だった。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間だった。

その結果、ダバグリフロジンはCKD治療薬として日本及び米国にて承認されています。

国内の患者数は、慢性心不全が130万人、慢性腎臓病が1330万人と推定されています。両疾患への適応拡大によって、SGLT2阻害薬の市場も大きく拡大しそうです。