コブラ「あと二時間で夜が明ける」 「夜が明けるとどうなる?」 コブラ「知らんのか」 コブラ「日が昇る」
先に紹介した通り、コブラは宇宙海賊というアウトローな存在ではあるが、一般的なイメージや作中に登場するその他の海賊とは異なり、私利私欲のために残虐非道な行ないをすることを良しとしない。身にまとった軽薄極まりない雰囲気によって普段は鳴りを潜めているが、己の信条を曲げず、それを貫くために戦う男というのが彼の本質だ。マンガ「コブラ」の見どころは、そんなコブラというキャラクターの魅力を様々な角度から楽しめるところにある。
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「コブラ」が連載開始になった1978年は、その前年にSF映画の金字塔「スター・ウォーズ」シリーズの第1作目である「エピソード4/新たなる希望」が公開された(日本では1978年6月公開)タイミングであり、船ひとつで広大な宇宙を股にかけるスペース・オペラの機運が高まった。そんな世相もいち早く取り込んだ本作──寺沢氏は当時まだ珍しかったCGを用いた作画手法も取り入れるほど先見の明があったが、それはまた別の話──では、コブラの健在を知った海賊ギルドの面々や、彼の力を借りようと依頼を持ちかけてくる警察機構・銀河パトロールなどを軸に、実に多種多様な宇宙人や勢力との関わりが描かれる。
また、コブラの宿敵クリスタル・ボーイとの会話も秀逸だ。サイコガンで厚さ4インチの超マイクロ鋼でできた壁をぶち破ったコブラは、クリスタル・ボーイと対峙するなり「オレをさがしてたんだろう? もっとうれしそうな顔をしろよ」と言い放つ。その後もサイコガンを放っておきながら「ノックをすべきだったかな」と悪びれもなく言うコブラにクリスタル・ボーイも「いいさ オレときさまの仲だ」と返すなど、会話だけ聞くならまるで友人同士のそれである。
コブラの「あと2時間で夜が明ける」 「夜が明けるとどうなる?」 「知らんのか 日が昇る」 を思い出した。
その夢のなか、正統派の海賊であるという自負があるコブラは、残虐非道な行ないをするマフィア的な組織・海賊ギルドが気に食わず、ひとり反旗を翻す。海賊ギルドの船に出会っては撃墜していくコブラだが、その最中、交戦した船に乗っていたギルドの幹部、キャプテン・バイケンを取り逃がしてしまう。生き延びたバイケンはコブラを目の敵にし、それ以来全宇宙の海賊から追われる身となったコブラ……そこでトリップ・ムービーは終わり、上機嫌で帰路につくジョンソンは、夢で見たバイケンそっくりの人物に出くわすことになる。
それ故に本作を読んだことはないものの、作品の存在自体は知っているという人も多そうだが、それ以外にもコブラが発するシニカルでユーモアに富んだセリフがSNSなどを中心に話題になることがあるので、そこから作品を知ったという人も少なくないだろう。
コブラ中根参上!心に残るコブラ名言。 夜が明けるとどうなると思う? 知らんのか.
実際は苦悩するジェフにコブラはさまざまな助言と助力をしており、その上で「明けない夜はない」と示唆するわけだが、ネットではこの「知らんのか」が一人歩きをしているようだ。
取り上げた3つのセリフ以外にもコブラにはクールで洒落た名セリフが多い。なかでもX(旧ツイッター)を中心に見かけるのが、保安官ジェフとの会話を置き換えた「知らんのか」パロディだ。元ネタは短編『リターンコブラ』で、盛大なドンパチがひと段落した後、「あと2時間で夜が明ける」と語るコブラにジェフが「(それで)どうなるのか」と尋ねるシーン。それにコブラは「知らんのか」「日が昇る」と返すのだが、ごく当たり前なことをキメ顔で返答するコブラのこのコマを使い、セリフを変えてパロディが行われるようになった。
一行は洞窟で一夜を過ごし、夜が明けるとデイジーが凍死していた。 23分
「腹をたてると何をするんだ? ウサギとワルツでも踊るのか」、「神か……最初に罪を考え出したつまらん男さ」など、コブラの軽口(=名言)はそのフレーズの良さからSNSなどでも度々話題になる。(一番有名なのはコブラとジェフというキャラクターのやり取り「夜が明けるとどうなる?」、「知らんのか」をモジッた構文だろうか。こちらのセリフを変えた投稿がSNSなどで散見される)どんな緊迫した状況でもキレッキレのジョークを一発かまして事に当たる、この作品を通して漂う飄々とした空気感がコブラというキャラクター最大の魅力であり、本作の代名詞的なファクターだ。
「コブラ」は1978年から1984年にかけて、集英社の「週刊少年ジャンプ」にて157話を断続的に連載。その後は同社の青年誌「スーパージャンプ」でも連載した後、メディアファクトリー(現・KADOKAWA)のコミック雑誌「コミックフラッパー」へ移籍。KADOKAWAのWEBコミックサイト「COMIC Hu」では「COBRA OVER THE RAINBOW」と題した新エピソードを発表していたが、作者の寺沢氏が2023年9月に没したため現状未完となっている。
コブラ「あと二時間で夜が明ける」 「夜が明けるとどうなる?」 コブラ「知らんのか」 コブラ「日が昇る」.
コブラ:内田直哉
アーマロイド・レディ:榊原良子
セバスチャン:伊藤和晃
レオ:沢木郁也
ジェロニモ:佐々木誠二
リンダ:五十嵐麗
デイジー:雨蘭咲木子
バッキー:姫野惠二
ジャック:谷昌樹
フランク:山口りゅう ほか
洞窟で一夜を過ごすコブラたちだが、夜が明けるとデイジーが凍死しているのを見つける。
齢30も半ばになってきて、“男のカッコよさ”とは何かということを改めて考えることがある。見た目が整っていること? 社会的なステータス? 女性に対するスマートさ? 豊富な人生経験からくる余裕? ──漠然とした命題だけにきっと明確な答えはなく、これからもその正体を探りながら生きていくことになるだろう。しかし今の自分は、そんな数多ある要素のなかでも「痩せ我慢とちょっとのユーモア」は欠かせないと確信している。そう思い至ったのは、漫画家・寺沢武一氏による不朽のスペース・オペラ「コブラ」によるところが大きい。
後、2時間でYoutubeの12時間の枠を使い切って夜が明ける。
コブラ30周年を記念して始動した新作アニメプロジェクト「COBRA THE ANIMATION」が、ついにTVアニメーションとなって登場! ■第6話「カゲロウ山登り」何もない雪原を飛行中、20トンの金塊を積んだ飛行機が何者かに爆破され、墜落した。捜索隊が墜落した飛行機を空から探したが、何も見つからなかったという。それから数日後、雪原の渡し場に、船を待つ数人の乗客が集まっていた。彼らの目的は、この地方に十年に一度、カゲロウのごとく突如として現れるというまぼろしの山・カゲロウ山に登ることだったが、吹き荒れる雪嵐に足止めをされていた。そこへ自らをジョンソンと名乗り、素性を隠したコブラがやってくる。そんなコブラに船を待つ乗客の一人、セバスチャン神父が、ほかの乗客の紹介を始める。しかしコブラ同様に、乗客たちはそれぞれが本当の素性を偽っており・・・・・・。■第7話「山頂へ」断崖絶壁が続くカゲロウ山を登るコブラたちの前に、巨大な氷塊が落下し、雪崩が起こる。コブラの機転によって危機を脱したのも束の間、カゲロウ山の存在を疑ってしまったクレイジーマウス姉弟の弟・バッキーは足場を失い、山から落ちてしまう。どうにか洞窟までたどり着き、寒さを凌ぐバリヤーテントの中で一夜を過ごしたコブラたちだったが、夜が明けるとバッキーの姉・デイジーが凍死しているのを見つける。外されたエネルギーチューブを見て、彼女が事故に見せかけて殺されたのではないかと疑うコブラ。互いに疑心暗鬼となる残された者たち。果たしてカゲロウ山の頂上に金塊はあるのだろうか。そして彼らの中に潜む犯人の正体とは・・・・・・。
夜が明ける 西加奈子・阿津川辰海・道尾秀介など 小説まとめてセット②
そんな作品を彩る名言の数々については枚挙にいとまがないが、筆者が特に好きなのはコブラが「運てものは力ずくで自分のほうへむかせるものさ」と持論を語った後、「その運てえやつに負けた時はどうするんだ」と返された際にウインクしながら発した「笑ってごまかすさあ!」というセリフ。自身の固い意志はありながらも、それに意固地にならない余裕があり、コブラというキャラクターを端的に表現している名台詞だと感じる。
あと2時間で夜が明けるんだァのところはすごくじんわりするんだァ
寺沢氏によるハイセンスな言葉選びはもちろん、コブラの軽口は逆境になればなるほど切れ味が増すような、“痩せ我慢”的なスタンス(その後キッチリと自身の力で状況を打破するので、厳密には痩せ我慢ではないのかも知れないが)が見え隠れするのがそのカッコよさを際立たせるスパイスになっている。このピリリと効く名言の数々は、思春期を過ぎた大人にこそ刺さるのではないだろうか。ジョンソンのように刺激に飢えた諸兄たちにこそ、読んでほしい作品だ。