販売名, 配合量, 服用感(調製後30分間), 服用感(調整14日間), 安定性の変化(著しい変化が認められない期間)
患者は慢性下痢のため、病院から<処方>が処方されていたが、あまり改善しなかったため、ドラッグストアの薬剤師から勧められた強ミヤリサン錠(指定医薬部外品)を購入し服用開始したところ、下痢は少しずつ改善した。患者は強ミヤリサン錠の継続服用を希望したが、医療用の整腸剤で同じものがあれば、医師に処方してもらいたいと考え、かかりつけの薬局のA薬剤師に相談した。
A薬剤師が強ミヤリサン錠を調べたところ、医療用のミヤBM錠と同じ成分で、製造販売している製薬会社も同じであり、両剤の添付文書や服用方法を確認した。
商品情報 腸内菌叢の異常による諸症状の改善。 通常、成人1日3~6錠を3回に分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。
そこで、A薬剤師は患者が次回消化器科を受診するまでに、市販薬より含有量は少ないが、ミヤBM錠を処方してもらえないか医師に相談すると患者に約束した。この時点で、A薬剤師は市販薬の強ミヤリサン錠の方が、1日に摂取する宮入菌の含有量が多いと判断していた。
しかし、別のB薬剤師から、医療用より医薬部外品の方が1錠当たりの含有量が多く、1日摂取量が2倍以上も多いのは、どう考えてもおかしいのではないかと指摘を受けた。
そこでメーカーに詳細を確認したところ、ミヤBM錠と強ミヤリサン錠はどちらも宮入菌であるが、そもそもの両剤の製法自体が異なるため(いわゆる濃度に該当するものが異なる)、菌末の重量だけでは単純に比較できず、菌数で比較すると、ミヤBM錠1錠(20mg、菌数107個以上)、強ミヤリサン錠9錠(270mg、菌数106以上)になることが分かった。
A薬剤師は、医療用のミヤBM錠と同じ宮入菌製剤として、強ミヤリサン錠が市販されていることは認識していた。両剤の添付文書を確認し、菌末含有量に基づき単純に両剤の相当量を比較し、菌末の含有量が医療用に比べて医薬部外品の方が2倍以上もが多いことに驚いたが、用法用量に従って使用すればよいと考えるだけであった。
しかし、宮入菌の菌数まで気にすることはなく、それ以上の詳細を調べなかった。その後、B薬剤師から両剤の乖離を指摘されて初めてメーカーに詳細を確認し、菌末の重量だけでは単純に比較できず、菌数で比較する必要があることが判明した。
危うく、患者対応および医師への情報提供に誤りをおかすところであった。
・使い慣れており、安心感がある。効能は高く、満足している。(50歳代病院勤務医、精神科)
今年(2018年)4月の診療報酬改定では、小児科医療機関に対し「抗生剤(抗菌剤)の適正使用に取り組むよう」ルールの変更がありました。
私(院長)は、十数年前に自分の診療(治療)方針を変え、この「抗生剤の適正使用」に取り組んでいますので、にも明記しています。いわば、当院にとって「当たり前」のことですが、折角の機会ですので、詳しく説明したいと思います。
<処方>80歳の男性。病院の消化器科。 ラックビー錠: 3錠 1日3回 毎食後30日分; 他10種類
ビオフェルミンRといえば「抗菌薬とセットで処方される整腸剤」ですが、
ビオフェルミンRとの併用が保険適応上問題となる抗菌薬についてまとめていきます。
・細菌感染症をきちんと診断し、適正な種類の抗生剤を選択し、適切な量を適切な回数分、処方する。
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日400mg(力価)を2
添付文書上で、ビオフェルミンRの併用ができる抗生剤は下記の通りとなっています。
薬局薬剤師は、患者がドラッグストアで購入した強ミヤリサン錠<宮入菌末(酪酸菌)>(1日9錠、宮入菌末として270mg)の方が、医療用医薬品のミヤBM錠(1日3~6錠、宮入菌末として60~120mg)より宮入菌末の含有量が多いことから、効果も高いと勘違いした。しかし、詳細を調べたところ、両剤はどちらも宮入菌であるが、そもそもの両剤の製法自体が異なるため、菌末の重量だけでは単純に比較できない。菌数で比較すると、ミヤBM錠は1錠当たり107個以上、強ミヤリサン錠は9錠あたり106個以上と異なっていることが分かった。
大して成分が変わらないのなら、ミヤBMを飲もうかなと思っているのですが…
「細菌感染を予防するために、抗生剤を処方する」のであれば、鼻腔の常在菌「インフルエンザ菌、肺炎球菌を全滅」させれば理論上「予防になる」でしょう。しかしながら、全滅はできません。「処方された抗生剤が効いた菌」が死に、「抗生剤が効かなかった菌」が生き残ります。
ウイルス感染症に抗生剤は効きません。
抗生剤をのんで、それが「効いた菌が死に、効かなかった菌が生き残る」。
簡単に言うと、抗生剤は細菌を殺す薬です。
「抗生剤をのむと下痢する」ことは、知ってる人も多いと思います。抗生剤が効き、腸内細菌の一部が死に、下痢をするのです。整腸剤を合わせて処方されるのですが、有名な整腸剤「ビオフェルミン」はビフィズス菌ですし、当院採用の「ミヤBM」は宮入菌。死んだ細菌を補充し、「腸を整えている」のです。
ヒトの健康体は、常在菌と共生しているのです。
こうして、常在菌が変化し「抗生剤が効かない菌」が増えます。この「抗生剤が効かない菌」を「薬剤耐性菌」と言います。
ミヤBMより強ミヤリサンの方が宮入菌末量が多いと勘違い
常在菌と共生しているヒトに、ウイルスが感染し、かぜ・ウイルス性胃腸炎などになります。そこに「念のため抗生剤」を処方され内服すると、病原体のウイルスには作用せず、「常在菌に効く」ことになります。
ミヤBMとビオフェルミン
「念のため抗生剤」の結果、常在菌が耐性菌化し、感染症(中耳炎、肺炎など)が難治化していくのです。そして、クリニックが患者さんでごった返すことになるかもしれません。
ビオフェルミンRと併用できない抗生物質は?疑義照会は必要?
抗生剤をよく処方する先生から、「(薬を出さない)先生は、神様ですか?見落としはないのですか?」と言われたことがあります。細菌感染症を見落として病状が悪くなった場合、「抗生剤を処方していない」事実はわかりやすいですから、「患者さんからクレームが来るかもしれない」と心配し、「念のため処方するのです」と。
クラリスロマイシン200とミヤbm処方されました ..
お返事拝見しました。
腸内有益細菌であるミヤBM’(酪酸菌)とビオフェルミン(ビフィズス菌でした)ですが 酪酸菌は芽胞と呼ばれる強い外殻を持っていますので酸・アルカリ・高温に強く胃酸によるダメージを受けにくく腸に届くことが出来ます。
一方 乳酸菌やビフィズス菌などはこの芽胞をもってないので腸に届く前に胃酸でダメージをうけやすいという違いがあるとされています。
また一般的にビフィズス菌や乳酸菌は小腸から大腸で有害菌増殖抑制作用をもち腸の粘膜を保護します。
酪酸菌は大腸で作用します。
どれを処方するかは医師によって(好みによって)異なることもあります。
[PDF] 各種乳酸菌製剤の抗生物質感受性について
「細菌感染症をきちんと診断し、適正な種類の抗生剤を選択し、適切な量・回数、処方する」については、後編として、説明したいと思います。
抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (前編)
不適切な処方の例として、「念のため、抗生剤処方します」「とりあえず、抗生剤処方します」「細菌感染の予防に、抗生剤処方します」「熱があるから、抗生剤処方します」「患者さんが欲しがるから、処方します」などがあります。
クラリスロマイシンの併用禁忌:自閉症などに用いられるピモジド(商品名:オーラップ)、片頭痛薬のエルゴタミン製剤(商品名:クリアミン、ジヒデルゴット)及び肺動脈性高血圧薬のタダラフィル(商品名:アドシルカ)に対してはピモジド、エルゴタミン製剤及びタダラフィルの血中濃度を上げるために禁忌です。
整腸剤としてビオフェルミン,ミヤBM,ラックビーなどがあるが,どのように使いわければよいか。(福岡県 S)
ミノマイシン顆粒2%
整腸剤の使いわけのエビデンスは確立されていないが,菌種で消化管部位に対する親和性や抗菌薬に対する耐性の有無などに違いがあり,これらの特徴に応じて使いわけられることがある。
整腸剤は,大きく生菌製剤と耐性乳酸菌製剤にわけられる。これら製剤の添付文書における効能・効果については,生菌製剤は「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」,耐性乳酸菌製剤は「抗生物質,化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善」とされている。
整腸剤の効果や機序に関する報告は多数ある。その主なものとして,(1)菌体成分による宿主免疫応答の修飾,(2)菌体または産生される酵素による腸管内の物質代謝や栄養素の補完および吸収改善,(3)産生されるバクテリオシンや有機酸による腸管感染症の予防および治療効果,(4)免疫応答および短鎖脂肪酸の産生による腸管内の炎症や潰瘍の抑制作用,(5)発がん関連酵素の活性低下による大腸癌の予防または治療効果,などがあり,消化管感染症や抗菌薬関連下痢症(Clostridium difficile腸炎)の予防および治療,炎症性腸疾患の寛解導入および維持,過敏性腸症候群の緩和などに臨床的有用性が認められている(文献1)。
生菌製剤は,同一の適応症を持ち,製剤間における大規模臨床比較試験は行われていないため,使いわけのエビデンスは確立されていない。しかしながら,製剤により菌種が異なる,または含まれる菌種の数が異なるため,各菌種の特徴を理解した上で,選択するのが望ましいと考えられる。
表1に示すように,生菌製剤に含まれる菌種には,ビフィズス菌,乳酸菌(ラクトミン),酪酸菌,糖化菌がある。菌種各々の特徴は以下に示すが,菌種によって,消化管部位に対する親和性,付着性,酸化還元電位に対する感受性および物質代謝能が異なる(文献2)。
ビフィズス菌は偏性嫌気性菌であり,小腸下部から大腸にかけて増殖し,乳酸および酢酸を産生する。有害菌増殖抑制作用,腸管運動促進作用がある。
乳酸菌は通性嫌気性菌であり,小腸から大腸にかけて増殖し,乳酸を産生する。増殖性ならびに乳酸生成能が高く,有害菌の発育を阻止することにより,腸の粘膜を保護する。
酪酸菌は偏性嫌気性菌であり,芽胞を形成する。酪酸の産生能が高く,大腸で増殖する性質を有する。
糖化菌は偏性好気性菌であり,芽胞を形成する。小腸上部より増殖を始め,乳酸菌の増殖促進作用がある。
糖化菌と乳酸菌の流動混合培養では,乳酸菌の単独培養に比べ,菌数は12.5倍に増加する。また,乳酸菌と酪酸菌の流動混合培養では,酪酸菌の単独培養に比べ,菌数は11.7倍に増加することから,共生作用が確認されている(文献3)。したがって,より効果の増強を期待したい場合は,理論上,合剤の使用が妥当と考えられる。
実際,重症型薬疹や薬剤性過敏症症候群,bacterial translocationによる敗血症などの重症疾患において,複数の菌種の合剤による治療が有効であったとの報告がある(文献3,4)。
抗菌薬関連下痢症に対して使用する場合,抗菌薬により失活する整腸剤がある。たとえ耐性乳酸菌製剤を使用する場合でも,限定された抗菌薬にのみ耐性を示すため,注意が必要である。大半の耐性乳酸菌製剤の添付文書における効能・効果は,「下記抗生物質,化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善:ペニシリン系,セファロスポリン系,アミノグリコシド系,マクロライド系,テトラサイクリン系,ナリジクス酸」である。ただしラックビーR散は,テトラサイクリン系に対する適応はない。また生菌製剤の中でも,酪酸菌製剤は,芽胞を形成するため,人為的な耐性を付与せずとも抗菌薬の影響を受けがたく,小児における抗菌薬関連下痢症に対して有効であったとの報告がある(文献5)。
しかしながら,現在のところ抗菌薬を併用した場合の整腸剤の効果については,不明な点も多い。また,新規抗菌薬も年々上市されており,併用可能な耐性乳酸菌製剤がない抗菌薬に対してどの整腸剤を選択すべきかについて断定するにはエビデンスに乏しい。今後,適正使用に資する臨床効果の検討が必要である。
クラリスドライシロップ10%小児用 ..
例えば、インフルエンザ。インフルエンザウイルスの感染症で、現在では抗ウイルス薬である「タミフル」を処方します。実は、タミフルがない時代(約20年前以前)は、「念のため」抗生剤を処方していました(もちろん、インフルエンザウイルスに効きませんので「不適切な処方」です)。
ミヤBM細粒
1) 高橋志達, 他:臨と微生物. 2006;33(2):147-51.
2) 森下芳行:医のあゆみ. 2003;207(10):815-8.
3) 長嶺敬彦:未病と抗老化. 2003;12(1):63-7.
4) 長嶺敬彦:Prog Med. 2004;24(7):1791-4.
5) 倉田 晉, 他:小児臨. 1988;41(10):2409-14.
6) DRUGS IN JAPAN日本医薬品集フォーラム:日本医薬品集医療薬. じほう, 2014.
ゾビラックス顆粒40%
なつさん こんにちは。御質問拝見しました。
それぞれ乳酸菌、酪酸菌と含まれている菌の種類は違いますが どちらも整腸剤ですので飲んで調子がいいものを内服されてもいいと思います。
ただ抗生剤が出ていますので今後下痢などの副作用が出るかもしれませんね。
また何かありましたらご質問ください。