メラトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンをへて作られます。
最後に、セロトニンについて少し詳しく。
セロトニンは、必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」から生合成される脳内の神経伝達物質のひとつです。俗に「幸せホルモン」と言われています。視床下部や大脳基底核・延髄の縫線核などに高濃度に分布し、他の神経伝達物質であるドパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。抑うつ状態は、セロトニンなどの脳内の神経伝達物質や受容体、神経細胞の働きが悪くなることにより発症するものと考えられています。
セロトニンを材料にして「メラトニン」というホルモンが合成されます。このメラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、朝日を浴びると分泌が減少し、夜になると増加します。セロトニンは逆に、朝日を浴びることで分泌が増えるといわれています。トリプトファン、セロトニン、メラトニンなど合成サイクルが良好に回っているときには、よい睡眠とともに安定した気分を作り出すことができます。
メラトニンは体内時計を整えるホルモンです。日中光を浴びることで、体内時計が整いやすくなります。また医療用のメラトニンもあって、効果的です。
この冬は新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務などで、こもりがちな日々が続いています。人との直接的なつながりも薄れてしまいがち。しかし、孤独は不安や抑うつ気分を悪化させます。ただでさえウインター・ブルーに陥りやすい人にとっては例年以上に厳しい冬です。
そんなときに重要なのが、大切な誰かとつながりを持つこと。「社会的なつながりや支援があるという感覚が、抑うつ気分を改善させる第一歩といわれます。直接会えなくてもZoomなどのオンラインサービスの活用は有効です。もちろん、電話やSNS、手紙など、あらゆる手段を用いて、繋がっていることが大切です。
また、ネガティブな情報を絶えず目にしていると、心を休めることは難しくなり、ポジティブな気分を生むことはできないでしょう。例えばニュースをチェックするのは1日に2-3回と決めるのもひとつです。さらに、テレワークが増えた人や出かける機会が減った人は、少しでも屋外に出る機会を作りましょう。人混みや密を避けながら、1日に1回外に出て、20分程度歩くだけで、驚くほど効果があります。日光を浴びることに加え、からだを動かすことでホルモンや自律神経のバランスが整ってきます。
ウインター・ブルーはどんな人でも陥る可能性があります。特にコロナ禍の冬、リスクを少しでも減らすよう、できることから始めましょう。
睡眠に対する影響については、外因性のメラトニンは、ラメルテオンと比較すると入眠の効果が弱く、睡眠時間の変化はないようです。
断眠の抗うつ効果と尿中メラトニン代謝産物の関連 (精神医学 38巻2号)
ラメルテオンは、メラトニン受容体作動薬ですが、6時間ほど効果が続きます。一方、外因性のメラトニンは2時間の効果となっています。さらに、ラメルテオンは、メラトニンより10倍の効能があると報告されています。
自覚症状と臨床経過、および季節性に起きているうつ症状、食欲の亢進、過眠があることを総合して、冬季うつ病を診断することができます。
うつ病患者の尿中メラトニン代謝物の量と日内リズム (精神 ..
最も効果的なのは、いうまでもなく自然の光により多く当たること。図2は、環境による明るさの目安を表しています*4。10,000ルクスの光であれば1時間程度浴びるのが効果的とされています。冬は特に、晴れた日に屋外に出て陽の光を浴びましょう。曇り空でも10,000ルクスの照度が得られます。屋内なら、できるだけ明るい光を得られる南や東側の部屋がベター。人工的な照明だけでは不十分ということがわかるでしょう。じっと動かずに人工光を浴びるよりは屋外に出て体を動かす方をお勧めします。なお、冬季うつの治療として、「光ボックス」という人工光を使用して光を浴びる方法もあります。これは1~2時間程度、2,500~10,000ルクスの高照度の光を照射するというものです。
1週間はあけて効果を判定していき、効果が不十分な時は少しずつ増量をしていきます。
実はこの不眠症状には、セロトニンやメラトニンと呼ばれるホルモンが大きく関わっていることが分かっています。 ..
冬は健常人でもセロトニン分泌量が減ることがわかっています。日照時間が短くなると、体内時計をつかさどるメラトニン分泌のタイミングが遅れ、また脳内神経伝達物質のセロトニンやドーパミンなどモノアミンが減少し、抑うつを引き起こしやすい傾向になります。こうした変化に敏感な人は、通常の人よりもウインター・ブルーに陥りやすい特性があります。
冬になると、朝は布団から出られず、つい長く寝てしまう。また寒い時期には炭水化物や甘いものが食べたくなることも。これらは寒さのせいと思われがちですが、実は日照時間が短いことが影響しているのです。冬季うつは北欧など冬に日照時間が極端に短くなる高緯度地域に多いとされています。日本でも北国に多く発症します。春が近づき日照時間が長くなると症状は自然に治ります。
晩秋から冬にかけて悲しく憂鬱な気分になり、以前は楽しみだった活動に興味がわかず、疲労感が募り、無力感や罪悪感にかられる・・・このような季節性の抑うつ気分が、「冬季うつ(ウインター・ブルー)」です*1。女性や若年者に比較的多いとされ、我が国の一般人口を対象に行なった調査においては、2.1%に疑われたと報告されています*2。またうつ病の人の10-20%が冬季うつを経験するともいわれています。冬季うつの特徴は、「過食」、「過眠」そして「体重増加」。食欲不振や不眠になることが多い一般のうつとの大きな違いです(表1)。
バックナンバー 診療室から よく噛み、よく歩いてうつ病に強い身体作り うつ病には「夏季うつ ..
メラトニンには抗酸化作用(アンチエイジング)があると考えられています。もともとメラトニンは、肌を白くする物質を探している過程で見つかった物質です。動物実験レベルでは肌が白くなったという報告もあります。メラトニンの抗酸化作用は、不妊にもメリットがあるのではと研究されています。少量のメラトニンは、卵子を酸化ストレスから保護することで成熟が促され、受精率や妊娠率の改善につながるのではと推測されています。
SAD は、毎年、通常は冬に再発し、晩春から夏にかけて軽快するうつ病を引き起こす可能性がある症状です。 ..
睡眠に対する効果として、があります。そのため、不眠症の治療に使われています。メラトニン受容体作動薬は、ベンゾジアゼピン系のと比較すると、であることが利点です。
その主な原因には、うつ病はもちろん、仕事のストレス、残業 ..
しかし残念ながら、メラトニンをサプリメントとして摂取しても目に見えるような効果は得られません。ですが、体内時計にあわせた生活リズムが作れると、身体にいいのは間違いありません。メラトニンを摂取すると免疫が少しだけ上がることが報告されています。
今回は睡眠とメラトニンの関係およびメラトニン自体がもたらすアンチエイジング効果について述べる。
メラトニンは体内時計のリズムを整え、様々な身体の機能に関係していと考えられています。精神疾患の予防、生活習慣の予防、発がん予防、認知機能の維持、アンチエイジングなど、様々な疾患の予防や治療に効果があるのではと考えられてきました。
メラトニンが分泌されると眠くなる効果がありますが、睡眠障害の場合このメラトニンがうまく分泌されていない可能性があります。 ..
季節性感情障害には、冬と夏に発症する二つのタイプが存在します。うつ症状は両者に共通しています。
うつ剤がうつ病に効果を示します。 パニック障害・社会不安障害などの ..
極論を言うと、不眠症に悩まれる方は、うつ病の可能性もあるという事になります。
セロトニンは脳内の神経伝達物質で、睡眠に深く関わるメラトニンの前駆物質である。 ..
つまり、セロトニンが不足している人(例えばうつ病の方)には
睡眠ホルモンであるメラトニンを分泌する力が少なく、結果として不眠症になりやすいのです。
うつ病研究試薬 · 覚醒/睡眠障害研究試薬 · ミクログリア研究試薬 · 培地 (神経細胞) ..
体内時計をコントロールするメラトニンは、
通常朝起きてから一定時間経過後(起床して14~16時間後)に
分泌され始めるため、生活リズムを維持するには、眠りに就く時間よりも、
「朝起きる時間を一定に保つ」ほうが重要であると言われています。
メラトニンの原料は『トリプトファン』です。このトリプトファンは、食事によって ..
精神症状のほか、自律神経のバランスにも影響として、だるい、吐き気、息苦しい感じがする、動悸などの身体症状が生じることもあります。
うつ病予防のために; 投稿者:あかし心療クリニック 院長 明石広海
うつ病ではセロトニンの分泌が低下していると考えられています。セロトニンの機能が低下してしまったことで、本来あった睡眠と覚醒のリズムが乱れてしまいます。このことが、うつ病の不眠症状の原因のひとつと考えられています。
うつ病や適応障害、パニック障害などに共通しているのが、睡眠障害です。 患者 ..
体内時計のリズムを司っているのはメラトニンですが、その刺激に従って自律神経を調整しているのがセロトニンではないかと考えられるようになってきています。
産後の母親の早朝覚醒時唾液中メラトニン値による生体時計の評価とその臨床的意義 ..
実はメラトニンは、セロトニンを材料にして作られます。脳の松果体という部分にある酵素によって、セロトニンがメラトニンに変換されます。このような関係にあるので、セロトニンとメラトニンは何らかの関連があるのではと考えられてきました。
神疾患(統合失調症、うつ病等)、薬物依存等の既往がある患者は除外)と
それでは睡眠薬の開発の歴史についてお話いたします。1950年代のバルビツール酸系睡眠薬や非バルビツール酸系睡眠薬(麻酔薬や抗てんかん薬としても知られる)に始まり、1960年代にはベンゾジアゼピン系睡眠薬が開発され、作用時間や強さの異なる非常に多くの薬が発売されました。ベンゾジアゼピン系の薬は一般的な睡眠薬として今でも数多く使われておりますが、その作用機序はGABAA受容体における神経伝達物質のγ-アミノ酪酸(GABA)の作用を強めることであり、これにより、鎮静、催眠、抗不安、抗けいれん、筋弛緩など様々な作用を示します。このため睡眠薬としてだけでは無く、安定剤などとしても幅広く使われます。この系統の薬は睡眠に関係のあるところだけを直接刺激するわけではないので、副作用として脱力やふらつき、一過性の健忘などが出ることがあり、習慣性や抵抗性、さらに内服を止めた時の反跳性不眠(かえって眠れなくなる)が問題となります。それらを改善すべく1989年にはベンゾジアゼピン受容体のうち睡眠作用に関わる部分だけをより選択的に刺激する非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Zドラッグと呼ばれる)も登場しております。そして2010年には睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの受容体を刺激するメラトニン受容体作動薬が発売され、今回さらに不眠症で過剰に興奮した覚醒中枢に直接作用するオレキシン受容体拮抗薬が発売され、より自然に近い睡眠を誘発できるのではと期待されております。
抗うつ薬とは、うつ病・うつ状態を改善させる効果をもつ薬剤である。 ..
冬季には日照時間が減少するためにセロトニン減少に伴ううつ症状、不安症状、また、セロトニン減少に伴うメラトニン不足により、睡眠リズムの乱れ、不眠症状も認めやすくなります。(季節性情動障害 冬季うつ病など)。
治療抵抗性うつ病として入院した 概日リズム睡眠 ― 覚醒障害群の1例
このようにメラトニンが減少してしまうので、年をとると眠りが浅くなってしまうのです。メラトニンを増やすことは子供ではあまり意味がありませんが、高齢者の方では効果が期待できるのです。
うつ病と食事の関係は? 食生活の改善でうつ病治療をサポートしよう
このようにオレキシンの分泌が盛んになって覚醒中枢が刺激され、睡眠中枢の働きを上回りますと覚醒し、逆に覚醒中枢の刺激が減ると睡眠中枢の方が上回って睡眠が起こると言うわけです。このオレキシンの発見およびそれより前に分かっていたメラトニンの発見は、睡眠薬にも変化をもたらせました。